ラボラトリーに影響を与えた人々(4)レヴィンの後継者たちの流れ

 

 また坂口(1989)によると1950年代の10年間くらいでNTLには大きな変化があり、3つの流れが生まれたという。1つはレヴィンの流れを汲む社会心理学やサイコセラピィとはやや距離を置き、自己内プロセスとグループ・プロセスの中で、自分がどう変容していくかを自分で見つめることを大切にする流れである。坂口はこれを「self in process」の流れと表現している。この流れの代表にはウェシュラー、マサリックなどがおりUCLAがその中心であった。これがいわゆるセンシティヴィティ・トレーニング(ST)である。

 

 第2の流れはブラッドフォードを中心に、理論的にはブーバーをおきながら、関係性を中心に考えていく流れである。ここでは実存哲学や現象学的な影響が色濃く見られる。坂口はこの流れを「Relatedness」の流れと表現している。更に第3として生産性をあげるために人間関係をいかにすればよいか、言い換えれば生産性をあげるために人間関係を手段にしていく流れである。代表はブレイクとムートンによるマネジリアル・グリッドであり、坂口はグループ・プロダクティビティの流れと呼んでいる。

 

 そして坂口(1989)によるとこうした3つの流れは80年代に入り大きな3つの分野に別れていく。それがサイコセラピーの分野、ヒューマンリレーションズの分野、そして組織開発(OD)の分野である。Tグループを中心とするラボラトリートレーニングはこの中のヒューマンリレーションズの分野に位置づけられる。

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