一人ひとりに息づく「物語」から学ぶ重要性

先日、ここ数年支援している社会福祉法人の運営会議に出てきました。

 この法人は、障害者施設に押し込まれるのではなく、自分の家のように自由に楽しく住むことができる場を作ることを目指して活動されている法人です。

 もともとこの法人には明文化された理念はありませんでした。長年法人理念を体現されてきた理事長さんがおられたからです。

 でもだいぶお年を召したので、理念をことばにして、若い人に伝達していきたいという想いをもたれ、理念の文章化を行いました。そしていまどうやって若い職員さんたちに伝えていくかという課題に取り組みんでいます。

 その中で、会議のメンバー一人ひとりが、自分が法人で働く中で、胸が熱くなるような、自分の宝物とも言える「物語~エピソード」をわかちあいました。

 例えば普通施設の入居者さんは行動が束縛されます。しかしこの法人では例えば電動車いす自由に外出したいと言えば、「できない」「だめ」とはいわず、どうその希望をかなえてあげるか、に心を砕きます。

 向かう先の人と話し合ったり、外出の練習を手伝います。また外出された方の後をこっそりついていくこともあるそうです。実際危険なこともあって、田んぼにおちて怪我をしたりすることもあったようです。それでも入居さんの想いがあればそれを大切にするのです。

 こうしたエピソードを聴いていると、一人ひとりの想いを本当に大切にするという理念が、職員一人ひとりに「物語」という形で息づいていることがわかります。聴いていて思わず涙する体験でした。

 会議では、こうした職員一人ひとりの「物語」を共有することが、法人理念を皆で共有していくことにつながるねという合意がなされました。こうした体験からの学びは一人ひとりを大切にする上でとても重要なように感じています。

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