温故知新

●新型コロナウィルスが流行してからこのかた、私の中では何かを前向きに取り組むことが難しいと感じていた。刻々と移り変わる状況の中で家族を守るために情報を集め対処する必要もあったし、これまでやってきたことをこのコロナの中でどう行うかに注意を集中する必要があったからだ。

 

●しかし流行後およそ一年が経って、コロナについて新たな情報・知見が出てくることは稀になった。私も家族も感染防止のために日常どう振る舞うかのルーティンも確立した。今日本では感染拡大が続いているが、私としてはやることはやった感じがしている。

 

●恐らくこうした理由からだろう。私の中では今徐々にこれからのことに思いを巡らせる時間が増えている。特にラボラトリーのことを考える時が多い。感染防止の観点から今年は一度も開催できなかったが、来年以降どんな風にラボラトリーをしていけばいいだろうということが私の大きな関心事になっているのだ。

 

●こんな風に考える中で、ふと昔、南山大学におられた山口真人さんの研究生をしていた時を思い出した。この時はラボラトリーに関わる本などが課題図書として与えられ、それを読んで抜き書きを作り、自分なりに検討してから、月に一度、先生の研究室で60〜90分ほど討議する。その中で学んでいく。

 

●私はこの時間がとても好きだった。それはもちろん学びが深まることもあるが、文献を読んで感じたことを、本当にきちんと聴いて受け取ってくださる先生のお人柄があったからだろう。また同じ実践をする者として、根っこの価値観を共有しあえるということに喜びが感じられていたこともある。

 

●さてコロナの状況からすれば、少なくとも来年上半期はまだ合宿のトレーニングは難しいだろうし、勉強会も避けたほうがいいように感じる。ただふと思いついたのだが、オンラインという道具を使えば、文献を読んで、“今ここ”で感じたことを分かち合う場を持つことはできるのではないか。

 

●私自身も昔読んで、ラボラトリーの実践のための血肉になっている文献ではあっても、しばらく触れないうちに忘れてしまっている所もある。こうした昔の文献を今読み直すことで、温故知新ではないが、新たな意味を見出し、さらに自分のものにすることもできるのではないかと感じている。

 

●そして山口先生としたように、ラボラトリーに興味・関心を持つ人と、“今ここ”で感じたことを分かちあいつつ、こうした学びを行えるといいなと思う。こうしたことが来年以降のラボラトリーの実践につながっていくような気がしていて、年明けには知り合いにこうした呼びかけをしてみよう思っている。

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