●このところ新型コロナ感染症の第4波が始まっているという報道が出始めている。しかし私の見る限り、新たな流行に対応しようと備える動きは鈍いように見える。それも当然なのかも知れない。本当に頑張って今年度を乗り切り、苦労して今のコロナへの対処法を確立させたばかりだからである。
●しかし私の中では焦燥感といってもいいほどの危機感が膨らんで来ていて、周りとのズレを耐え難く感じ始めている。そこでなぜ私がそんなに危機感を感じているかを探ると次の4つの情報がその背景にあることがわかってきた。それはコロナの変異株についての情報である。
●まず信頼できる情報によると英国型の変異株は、感染力が従来株より70%程度高い可能性がある。1人の感染者から何人に感染するかの割合(実効再生産数)も、従来のウイルスより0.52から0.74程度高い可能性が示唆されていている。致死率も同程度高くなると言われている。
●実際札幌などでの集団感染において感染する人の割合が倍増していることが明らかになっている。第二に特に大阪では、陽性になった人を検査すると3〜4割が英国株であることがわかっていて、変異株が既存株に取って代わる過程にあると言える。これはいずれ全国に広がるだろう。
●第三に英国株では小児への感染性が高まることや、死亡リスクの増加などを示す結果が報告されている。実際、日本でも子供への感染例が増えている。専門家は「(小児が感染のけん引力である)インフルエンザに近い状況になるため、対策が変わってくる可能性もある」と述べている。
●第四に英国の研究から知的障害や精神疾患の人は死亡率が高いことが確認されていて、日本でも療育手帳などを持つ人をワクチンの優先接種にするかどうかの議論が始まっている。学校現場にも一定割合こうした子供たちはいるが、実は高齢者や基礎疾患を持つ人と同じくハイリスクグループであるということになる。
●これらの情報を総合すると、これから英国株が蔓延すること、そしてインフルエンザのように学校が主な感染経路の一つになることが予測される。もしかするとこれまでは安全とされてきた接触でも、感染率が高まる英国株では安全でなくなる場合もあると覚悟する必要があるだろう。
●これはハイリスクグループである子供たちや、子供と同居している高齢者などが大きな危険にさらされることを意味する。また英国株をこのまま放置すると、急速な感染拡大のため医療体制が逼迫するのも予測できる。悪くするとまた入院調整の名の下に、実質的な命の選択が行われる可能性もある。
●私にはこれらはあてずっぽうの予想ではなく、ほぼ確実な未来であるように思える。しかも今後2〜3ヶ月くらいに起こる可能性が高い。それにもかかわらず私には、英国株によってもたらされる災害を最低限に抑えるための備えが十分にできていないように感じる。これが私の危機感やズレの根本にある気持ちなのだ。
●英国株に備えるにはコストも時間もかかる。「もう嫌だ!」となっている人々に働きかけるのは大変だ。備えを説いて、もし起こらなかったら責任を問われるかも知れない。しかし起こってからでなく事前に備えることで助かるいのちがあるように思う。私も今一度より安全に行動することに気を配り、また周りの人々に事前に備える大切さを伝えていきたいと思っている。