私が私になることを祝福する

●先日、今私が支援している学校から、一時間くらい「命の尊厳」に関わるようなことを話して欲しいと頼まれた。生徒さんの間でいくつかそうした事象が起きたということが背景にあるようだ。それでこの数日、ワクチンの副反応で苦しみながらも、私にできることがあるかを思い巡らせていた。

 

●「命の尊厳」などは直接的に言葉では伝えられないし、私ができるのは体験学習を通じて、それに近いものを感じてもらうことだけである。しかし1時間ではそれも難しい。こうした苦吟の中で出てきたのが、“今ここで起きてくるもの(気持ち、想い、感じなど)”を大切に、自分らしく生きてほしいという私の想いを伝えることである。

 

●そのためにまず今ここ”で起きてくる気持ち、想い、感じなどを大切にすることで、体験から学び、自分らしく成長できることを体験してもらう。具体的には「この学期を過ごした今の私」を色・形で表現し、2人でわかちあうことを通じて、 “今ここ”にきづき、そこに触れることで学びが生じることを体験してもらう。

 

●その上で私の想いをお伝えする。私には4つくらいお伝えしたいことがあるようだ。まず、支援的に他の人に聴いてもらうことで頭や気持ちが整理され、体験からの学びは生まれる。自分が自分になることもできる。だから嫌なこと、気になること、不安なことなどがあった時は支援しあえるといいと伝えたい。

 

●第二に怒りや自傷(自殺)など強い感情や衝動が“今ここ”にある時の対処である。昔電話相談をしていた時に学んだのだが、こうした強い感情・衝動は長く続かない。6分〜30分程度やり過ごすことを覚える。そうすると他の“今ここ”(甘いもの食べたい・・)も見えてくる。一時的な衝動に身を任せないことが大事だ。

 

●こうした時は一人で抱え込まないで支援を求めることも大事だ。先生や「いのちの電話」でも構わない。それでも繰り返しこうした強い衝動が起きる時は「心の風邪」を引いた時と捉える必要がある。これは誰にでもある事なので、風邪を引いた時にお医者さんに行くように迷わずお医者さんに行くと良いと伝えたい。

 

●第三は“今ここ”を大切にするのを妨げる他者の期待、あるべき姿、ルールに身を合わせさせる力についてである。規則で縛り、あるべき姿を身に付けさせようとする力がある。自分の気持ちを出すとイジメる人もいる。会議でも上の人だけが発言する会議もある。こうした「場所」だと“今ここ”を大切にできず、私は私になれない。

 

●でも場所は選べるし作ることもできる。私は私の“今ここ”を大切にしてくれる場所を探すことができる。“今ここ”を大切にしている学校や人がある。そこにいるとあなたも“今ここ”を大切にできる。そしてあなたも他者の“今ここ”を大切にする場所になってほしい。こうした場所を作る力になって欲しいと伝えたい。

 

●最後にこの学校では「多様性を祝福する」ことをモットーにしている。そして多様性は私が私になるということを受け入れることから生まれる。だから私が私になるということは世間からどう言われようとそれは自然なことで、それを受け入れ祝福して欲しいと伝えたい。

 

●こんなふうに思いめぐらせ、先方に送ったのだが、まだ返事がない。もしかしたら過激すぎたかもしれないなとも思う。しかしコロナ禍の中でまた不安が大きくなっている今、このことに想いを巡らせる時間をもらったことに心から感謝している。“今ここ”の生成の力を信頼して生きていく決意を新たにさせてくれたように感じている。

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