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代表の博野英二です。体験と学びの会は、ラボラトリー方式の体験学習をベースにして「体験から学ぶ〜自分と人を大切にするかかわり」を目指して活動しています。
ラボラトリートレーニングでは、それを行う人の価値観・人間観が反映されると言われます。それでわたしのプロフィールを少しさかのぼって、ご紹介しておこうと思います。
1、銀行員時代~芽吹き~
大学で経済学を学んだ後、私は当時名古屋に本店があった銀行に入社しました。銀行では、支店業務のほか、海外店のオンラインシステムの開発・保守、海外銀行向けの与信枠の設定などに携わりました。また1年北京に語学留学に派遣されました。
この時代に、「上司の言うことは絶対」と自分自身を追い込み、ありのままの自分を見失ってしまっている人に出会ったこともあります。本当に悲しい思いがしました。北京の大学に留学したり、海外出張をこなしたりなど仕事は充実していましたが、いまから思えば「いまここのありのままのわたし」でありたいという気持ちが深いところで芽生え、(言葉にもなっていませんでしたが)誰にも言えず悩んでいたのもこの時代でした。一人で当時はやっていたユングの本などを読みあさったのもこの時代です。
そうした時、導かれるよう電話相談のボランティアの紹介を受け、1年半という長い養成講座をうけ始めました。この講座がラボラトリートレーニングで行われ、そこで南山短期大学の人間関係学科におられた中堀仁四郎先生と出会いました。いまの私の師匠です。そして大学の人間関係研究センター主催の5泊6日の「Tグループトレーニング(人間関係トレーニング=ラボラトリー・トレーニング)」に初めて参加したのもその時でした。
このトレーニングでは、グループが葛藤を乗り越えた後の、とても暖かな沈黙と受容されている感じが鮮明に記憶に残りました。これが「いまここのありのままのわたしであっていい!」と感じ、それがとても大切であると思う原体験になったのです。
2、神戸大学MBAコース時代
その後、銀行を辞め神戸大学のMBAコースで学び始めました。ここでは経営に関する体系的な理論と科学的な方法論について学ぶ事ができました。
経営というと組織の視点ばかりがクローズアップされますが、実際には人間関係論の流れ、キャリア論の流れなど特に経営を個人の立場からとらえ、1人1人を大切にするためにどうしたらよいかを探求する研究もあります。わたしはそこに引かれました。
「日中管理者間のコンフリクト管理」という葛藤を乗り越えるための修士論文を書いたのはその流れです。ただグループにおける葛藤などの、「いまここ」でのかかわりを科学的に分析することは難しいこともわかりました。
3、講師時代の学び
MBA取得後、私はいろいろな学校で経営を教える仕事に就きました。短大や専門学校、予備校などもありました。この仕事では特に、生徒さん達が「経営」を徐々に理解していき、自分で学ぶ事を楽 しみ、自信をつけていく過程を毎年経験することができました。
つまり場が与えられ、やり方さえ理解できると、ほとんど人が自分を自分で成長させる力を持っているのです。研修やコンサルティングの仕事をしていると、よく社長さんが、社員のレベが低いということを言われる時があります。
でもこの時代、できが悪いと言われるほとんどの生徒さんが成長したことを見ているので、私はほとんどの人が自分らしく成長しながら優秀に仕事をこなし、場づくりをする能力が潜在的にあることを信じています。
ラボラトリー・トレーニングでもメンバー自身の成長する力を信じることがとても大事ですが、ここでの経験はとても役立っています。
4、ラボラトリートレーニングの本格的な学び
こうした時、ラボラトリー・トレーニングを長年やってこられた中堀仁四郎先生からお誘いを受け、Tグループを中心とするラボラトリー・トレーニングを本格的に学び始めました。これはクルト・レビンを始祖とするグループ・ダイナミクスの研究から生まれたグループトレーニングの方法です。
数日の合宿トレーニングの中で、まったく知らない間柄の人たちが作るグループが徐々に成長し、深い信頼関係を構築し、自分たちのかかわり方についての成長が生まれてきます。
こうした個人とグループの成長の過程では、さまざまなプロセスが生じています。こ うしたグループをオブザーブし、一つ一つの言動の影響力を「見る」訓練、勇気を持ってトレーナーとしてグループやメンバーにかかわっていく経験は、わたしに大きな影響をあたえています。
5、知恵とチカラをあわせるチーム・職場作りのスタート
Tグループを中心とするラボラトリー・トレーニングの要素の1つとして、一人ひとりを大事にしつつ、信頼関係の構築をベースに、課題をより創造的に効果的に解決していく場が生まれることがあります。
そしてわたしはこれが、研修の中だけでなく、グループや職場においてもある程度実現可能なのではないかと思い始めました。ちょうどそのころ、中小企業診断士の試験に受かったこともあり、まず個人で仕事を始めました。その後、仲間を募り、2006年にからLLP(有限責任事業組合)チーム経営研究所を立ち上げ知恵とチカラをあわせる職場作りの仕事をスタートしました。
幸い徐々に取り入れてくださる職場や個人が増え、国や地方公共団体、裁判所の方から、民間の方、社会福祉法人、病院などからとさまざまなご依頼を頂くようになりました。
6、体験と学びの会
いまでも私はTグループを中心とするラボラトリー・トレーニングに携わっています。こうした体験を積む中で、ひとり一人が自由で守られた場の中でかかわり、それを丁寧にふりかえる中で、ひとり一人が尊重される人間のかかわりと協働プロセスの構築が、体験からの学びとして生まれてくることに驚きを感じることが多くなりました。
つまり人間ひとり一人が違うこと、自分の特長を受け容れ肯定すること、同時に他者を受け容れ肯定すること、違う他者と協力して働くことができることを学んでいくのです。
私たちがこうして「体験から自分と人を大切にするかかわり」を学んでいくことは、職場だけではなく、日々の暮らしの中で、家庭、地域などにおいてもとても大切なことであると感じます。こうしたことから「自分と人を大切にするかかわり」を体験から学ぶ・探る場を広めていくために「体験と学びの会」は活動しています。