体験と学びの会では、ラボラトリー方式の体験学習とリフレクション、ファシリテーションの考え方と方法を用いて、人を大切にする組織づくりによる協働の促進を支援しています。
人を大切にして成果を上げる組織には共通の特徴があります。
1、想いがあわさっている
まずメンバー一人ひとりが組織の想いをベースとした「大切にしたい想い」を持っています。そのため仕事をする中で、「もうちょっとこうしたらいいのに」というアイディアがわいてきます。そして組織をよりよくするために、それを勇気を持って伝えてくれます。例えば病院であれば「患者さんのために」が出てきますし、学校であれば「生徒さんのために」が出てきます。会社であれば「お客さんのために」が出てきます。
2、知恵とチカラをあわさっている
こうした一人ひとりの想いは意見として出てくることもあれば、時には不満や違和感の形で出てくることもあります。強い組織の特徴はこうして一人ひとりから出てくるものを、きちんと受けとめ、課題にして皆でワイワイガヤガヤと検討し、皆が納得した解決を導びいていくことです。このため組織がよりよくなるように、皆が力を合わせ行動できるようになります。
3、失敗を学びにつなげられる
こうして組織では、「今までやってきたことを今まで通り」するのではなく、お客さんや患者さん、生徒さんなどのために「よりよいこと」にチャレンジしていきます。このためうまくいかないことも起こります。強い組織ではこの失敗体験を人の成長に結びつけていきます。そして試行錯誤の結果、何らかの形で成果をだし、お客さんや患者さん、生徒さんなどの喜びにつなげていきます。
こうしてメンバーは、活動にやりがいや喜ぶを覚えます。また自分のしていることに誇りを感じます。新しいことにチャレンジしていくので、自分も組織も成長できます。まさに組織の中の一人ひとりの想いが大切にされ、お客さんや患者さん、生徒さんなども大切にされる組織となるのです。
「人を大切にする強い組織づくり」に取り組む際に、知っておく必要があるのが「連結ピン理論」という組織のとらえ方です。これは組織を小集団(グループ)の集まりとしてとらえ、それらが連結したものとして考えます。
例えば会社や病院における各職場も小集団ですし、部門間会議など組織を横につなぐ場も組織を構成する小集団です。そして中間管理職は上の小集団のメンバーであるとともに、下位の集団のリーダーとなり、各集団を連結する役割を担います。
大きな組織の場合は組織づくりはいっぺんにはできません。組織づくりの取り組みはまず各小集団(各職場や会議など)で行われる必要があります。特に上のレベルや組織を横でつなぐ小集団で、人を大切にして成果をあげる強いチームづくりの取り組みに成功すると、連結ピンを通じて他の小集団に広げていくことが可能となります。
つまり各小集団で強いチームづくりを担えるリーダーを育てることが、人を大切にして成果を上げる強い組織づくりを進めることになるのです。
そして各小集団で人を大切にするチームを作るには、リーダーが次の3つの組織づくりに取り組む必要があります。つまりこれができるリーダーを養成することが求められます。
1、知恵とチカラをあわせる組織づくり
まず誰かが「こうしたら」と提案しても、それを聞いてもらえないことがあります。また聞いてくれても、組織の課題として検討してもらえることは多くありません。さらに会議などの議題になっても、みなで納得して決めることができなければ、このサイクルは回りません。
つまり1人のアイディアや提案を「知恵とチカラをあわせ、成果につなげていくことのできる組織づくり」が必要とされるのです。
2、体験を学びにつなげるチームづくり
またメンバーが失敗した時、自分や誰かを責めたり、報酬を下げるなど評価に直結すると、人はチャレンジしようとしなくなります。つまり活動の中で「こうしたら」という提案をしなくなってしまいます。強い組織では、うまくいかなかった時、それをふりかえり、内省から学びにつなげていくことで、人の成長に結びつけていきます。その結果、何らかの形で成果をだし、お客さんや患者さん、生徒さんなどの喜びにつなげていきます。
3、一人ひとりの「想い」を大切にする組織づくり
組織の中に、「いままでやっていたことを今まで通りやればいい」「言われたことをやればいい」という雰囲気が漂うことがあります。こうなると惰性で働き、リーダーの指示を待つメンバーが増え、新たなことにチャレンジできず、環境の変化に対応できない、また人の想いを大切にできない組織になってしまいます。こうした時、一人ひとりが組織や自分が何のために、何を大切に活動しているのかを問い直し、メンバーの想いを引き出し、組織の想いとあわせていく組織づくりが必要になります。